就労資格証明書

就労ビザで働いている外国人が転職した場合の手続き

日本では長年にわたり終身雇用制度が慣習だったことから、一度就職したら定年まで同じ職場で人生を全うする方が多い傾向にありますが、昨今では雇用の流動性が重視されひとつの会社にこだわらない方も増えています。 一方、海外では終身雇用制度のような慣習は皆無で新たな可能性や、やりがいを求めて新たな職場を探す頻度が高い傾向にあります。
日本国内でお仕事をしている外国人の方が転職した場合、どのような手続きが必要となるのでしょうか?現在のビザのまま新しい会社で働いて問題ないのでしょうか?就労ビザの取り扱いをどのようにしたら良いのか迷ってしまうケースも増えていますので、それぞれのケースの場合に必要となる手続きについて説明いたします。

1.前の会社での仕事と新しい会社での仕事の在留資格が異なる場合の就労ビザのお手続き

例えば、これまでは「教育」の在留資格で小学校などで英語教師として働いていた方が、民間の語学スクールの講師に転職した場合などがこのケースに該当します。民間の語学スクールの英語講師の在留資格は「技術・人文知識・国際業務」に該当しますので、この場合には転職の前後で在留資格が変わってしまうため。「在留資格変更申請」が必要となります。在留資格変更許可が得られる前に、新しい仕事を始めてしまう(報酬を得て勤務)と、不法就労罪に該当しますのでご注意下さい。

2.前の会社と新しい会社の職務内容(在留資格)が同じで、残りの在留期間に余裕がある場合

例えば、これまでA社で翻訳通訳として働いていた方が、B社でA社と同様の翻訳通訳のお仕事に転職する場合などがこのケースに該当します。いずれの会社においても翻訳通訳のお仕事に従事するため、今お持ちのビザの在留期間が残っているのであれば、基本的には今お持ちのビザのまま新しい会社(B社)でお仕事することができます。ただし、入国管理局に対し「所属機関等に関する届出手続」を14日以内に行う必要があります。また、入国管理局へ「就労資格証明書」の交付申請を行うことで次回の更新の際に不許可となるリスクを回避することができます。

 というのは、今お持ちのビザは前職の会社(A社)でのお仕事内容を元に審査され許可されたものなので、更新許可申請の際には、新しい会社(B社)でのお仕事内容等で新たに審査される(新規のビザ取得と同様の審査)ため、いきなり不許可となる可能性があります。ビザの審査はその方の学歴・職歴などの要件だけでなく、会社側の経営状態等も審査の対象となるため、同じ職務内容であっても不許可となることがあるのです。転職後に在留資格更新許可申請がいきなり不許可になってしまうと、最悪の場合には、日本で働くことができなくなってしまい、外国人を採用する会社側にとっても、外国人の方にとってもリスクとなってしまいます。

 「就労資格証明書」は、その外国人の方がもっているビザで新しい会社においてできる就労活動の内容を確認し、証明してくれる文書です。そのため、外国人本人にとっても雇用者にとっても、その外国人が合法的に就労できる資格を有し、その雇用に問題がないことを確認することができるものとしてメリットがあります。また、就労資格証明書を取得しておくことで、在留資格更新許可申請時には通常の更新申請の場合と同様の審査で済み、手続きがスムーズになります。

3.前の会社での仕事内容と新しい会社での仕事内容が同じで、残りの在留期間が短い場合(おおむね2~3ヶ月)

この場合には、就労資格証明書の申請をする時間的余裕はありませんので、いきなり在留資格更新の手続きをすることになります。この場合には、新規の申請をする場合と同等の審査がなされるため、転職先の会社の安定性や仕事の内容などについて、しっかりと立証していく必要があり、説明が不十分な場合には不許可となるリスクが高くなりますので注意が必要です。

まとめ

 まとめると、

  • これまでと職務内容(在留資格)が異なる仕事に転職→就労資格変更申請
  • これまでと職務内容が同じ、在留期間も残ってる→就労資格証明書申請
  • これまでと職務内容が同じ、在留期間がわずか→就労資格更新許可申請

※一般的にはこのような手続きになりますが、もっているビザによっても対応が異なる場合がありますので、ご不安な方は行政書士等専門家にお問合せ下さい。

 同じ仕事の内容だから今のビザのままで大丈夫だろうと安易に考えて何もせずに転職してしまうと、思わぬリスクとなる可能性があります。また、採用する会社にとっても、その外国人の方ができる就労活動の内容を超えた業務で働かせてしまうことで不法就労助長罪に問われる可能性があるため、適切な対応が必要となります。

 ただ、「就労資格証明書」はあくまで、その外国人の方がどのような就労活動を行うことができるのかを確認する文書にすぎないため、これがなければその外国人が就労活動を行うことが出来ないというものではありません。そのため、外国人の方が就労資格証明書を提示しないことにより、雇用の差別等の不利益な扱いをしてはならない旨が入管法第19条の2第2項に規定されていますのでご注意下さい。

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